プロジェクトレポート Project Report Vol.7

グローバルエレクトロニクス

グローバルエレクトロニクス

半導体分野を始め、世界のエレクトロニクス業界の発展を支えてきた
グローバルエレクトロニクス部。
産業界の未来を見据え、事業フィールドの拡大を図る。

Outline ▶ 半導体ビジネスで培った知見を活かして

JAML全体での海外営業資産残高は2割程度。その中で、海外企業との取引の多さで群を抜くのがグローバルエレクトロニクス部だ。エレクトロニクス業界への営業推進や海外拠点との半導体事業の連携を担う同部は、日本はもとより、米国、台湾、シンガポール、韓国をはじめ世界各国の顧客を有する。
「産業のコメ」とも呼ばれる半導体は、スマートフォンやPCから、自動車、産業用ロボット、冷蔵庫や洗濯機などの家電に至るまで、ありとあらゆる製品に搭載され、モノづくりの基盤として不可欠な存在。世界市場規模4,000億ドルともいわれる巨大ビジネスだけに多額の設備投資が行われる。数百億円規模の案件を組成してきたJAMLに、顧客から寄せられる信頼は厚い。
大規模グローバル案件での実績と、モノづくり業界への知見。それらを起点にした新たなビジネス展開も進んでいる。国内外での産業を多面的に支えながら、新規領域での商機を見出していく。

Case 01 ▶ 部署を超えた連携によるクロスボーダー取引

半導体業界向けの取引が多い同部において、自動車部品製造会社(以下、A社)を担当し、多額の設備投資をサポートするのが伊藤梨沙子だ。伊藤の顧客A社は、車体の軽量化に資する金属の成形技術を強みとするグローバルメーカー。自動車の燃費・環境性能の向上に重要な役割を果たす同社を、ファイナンス面から支えていく。A社とJAMLは日本・米国・英国での取引があり、伊藤は英国向けの取引を担当するほか全体的な連携窓口となる。日本向けは産業設備第一部、米国向けは在ニューヨークのJAML米国現地法人がそれぞれ取引を行う。「チーム内での協働が大切なのはもちろんのこと、部署の壁を超えた連携のもとで進める大口案件であり、日頃の情報共有を大切にしています」と伊藤は話す。南米・アジア・東欧などでも、A社のファイナンスニーズは高く、過去にも「この国でファイナンスをお願いできないか」と相談を受けた経緯もあり、伊藤たちとしても積極的に応えていきたい。「クロスボーダー案件はさまざまな要素が複雑に絡んできて、各国の会計制度や税制度を踏まえながら、調査を重ね、最適解を導き出していく必要があります。失敗できないプレッシャーはありますが、ここで培った経験やノウハウを将来的には他のプロジェクトにも横展開していきたいですね」と伊藤は気概を見せる。

Case 02 ▶ モノづくり企業の成長を加速させる存在に

グローバルエレクトロニクス部の取り組みとして、近年注力しているのがスタートアップ企業との資本・業務連携だ。モノづくりスタートアップ企業への事業推進を担当する目黒健太郎は、「例えば、製造系ベンチャー企業の工場などへの設備投資をサポートしたり、お客様に最適なファイナンスプランを一緒に考えるといった面で、当社の機能を活かすことができます」と話す。背景にあるのは、JAMLが2018年5月に創設した社内ベンチャーキャピタル・ファンドだ。先進的な事業を展開する企業への投資を通じ、リース会社ならではのインキュベーション機能を発揮して、相互の事業拡大を目指していく。目黒は「特に製造業は、仕様の検討からプロトタイプの作成、検証・評価を経て、ようやく量産となる時間のかかるビジネスです。スタートアップ時に直面する資金調達やパートナー企業との連携などの課題に対して、JAMLが共に取り組むことで成長ブースターの役割を果たせますし、同時にそれは当社にとっても将来の成長の種を蒔くことになります」とファンドの趣旨を捉える。2019年には、エレクトロニクス技術を手掛けるスタートアップ企業に対し、グローバルエレクトロニクス部での出資が決定。現在目黒がJAML側の窓口となり、今後の具体的展開へのコミュニケーションを深める。「まだまだ動き始めたばかりの案件ですが、お互いの強みを活かし、中長期を見据えて一緒にビジネスを育てていきたいです」と目黒は語る。

Ito’s Comment

半導体・エレクトロニクス産業は裾野が非常に広く、自動車や家電、インフラ系など各分野の動きを見ながらも、大局的に捉えていくことが大切です。特に海外は、JAMLとしてまだまだ未開拓市場といえ、社内のさまざまな部署と連携し、三井系・商社系、JA系統のネットワークを駆使することで、お役に立てる場面は無数にあります。そうしたところに積極的にアプローチすることで、お客様のビジネスはもちろん、世の中の技術革新への貢献につなげていければ嬉しいです。直接表に出ることは少ないものの、「縁の下の力持ち」として重要な役割を担う仕事だと思っています。

伊藤 梨沙子

伊藤 梨沙子

グローバル
エレクトロニクス部
2008年入社

Meguro’s Comment

当社はモノづくり企業ではないだけに、製造業について学ぶことは尽きず、向上心が常に大切な仕事だと考えています。できる限り多くの情報を集め、業界関係者からも話を聞き、「この分野ではどんな製造装置が使われているのか」「どのようなネットワークが重要なのか」など仮説を立てて、そこに対してJAMLがどう関われるのかを追求していきます。グローバルエレクトロニクス部は、世界有数企業との大規模な案件を手掛ける一方、優れた企業をゼロベースで発掘し、将来の成長ビジネスを育てていくこともあり、そうした事業の幅広さ、多様性におもしろさややりがいを感じています。

目黒 健太郎

目黒 健太郎

グローバル
エレクトロニクス部
2011年入社

※取材は2020年10月時点の内容です