プロジェクトレポート Project Report Vol.5

環境エネルギー

環境エネルギー

脱炭素を軸とする新たなビジネス潮流は、近年、世界で加速度的に広がる。
JAMLでは、プロジェクトファイナンスを中心とした独自の事業展開で、
再生可能エネルギーがもたらす未来を支える。

Outline ▶ 持続可能な社会へ本業を通じて取り組む

SDGs(持続可能な開発目標)※1の社会的な認知が進む中、環境・エネルギー課題への関心は世界で高まり続ける。脱炭素社会を目指した取り組みとして日本でも重視されているのが、太陽光や水力、バイオマス、風力、地熱などの再生可能エネルギーの導入拡大だ。国は、2030年までに電源構成に占める再エネ比率を22~24%まで拡大する目標を掲げ、固定価格買取制度(FIT)※2などによって再エネ市場の形成を促してきた。直近では2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにし、脱炭素社会を実現する「カーボンニュートラル宣言」が表明されたことで、事業活動における温室効果ガスの排出抑制は企業にとって最重要課題のひとつとなっている。JAMLにとっても、再生可能エネルギーや自家消費型エネルギー関連のビジネスは重要施策のひとつ。リース会社として培ってきた知見やノウハウを活かし、企業や自治体の再エネ事業への参入を支えたり、省エネ設備の更新をサポートするなど、持続可能な社会の実現に向けて取り組みを続ける。この領域を専門としてきたJAMLの環境・エネルギー部は、2020年4月、プロジェクト開発部へと改称。再エネ推進やエネルギーの地産地消は、地方創生や雇用促進、社会インフラなどともつながりが深い。環境・エネルギー関連へのファイナンスを主軸としながら、多様なパートナーとの連携のもと、リース業の枠を超えた新たな事業創出を目指す。

※1:2015年9月の国連サミットで、国連に加盟する全193カ国によって採択された世界共通の目標。2030年を目標年として、社会・経済・環境の3分野で17目標を定める。

※2:再生可能エネルギーで発電された電力を、国が定めた価格で一定期間(10kW以上であれば20年間)電力会社が買い取るように義務づけるもの。

Case 1 ▶ 再エネ発電所建設の推進を支えるファイナンス

新たな再エネ発電所の建設を検討する事業者を、プロジェクト開発部は多様なファイナンスで支援する。例えば太陽光発電所の場合、建設にかかる期間はおよそ1~2年であるが、建設時から発電所完成までにかかる資金を提供する融資が建中(建設期間中)ブリッジローンだ。再エネ事業者向けの営業推進を担当する木村悟士は、「FITによる売電収入を回収原資としたスキームとなるが、競合他社も多い中、お客様のニーズにどれだけ柔軟に答えることができるかが受注の鍵を握ります」と話す。同じくFIT制度活用としながらも、より複雑なスキームとなるのがバイオマス発電関連のファイナンスだ。バイオマス発電では燃料の多くを海外から調達するケースもあるため、為替の影響を受けるなど太陽光発電事業等と比較し変動要素が多い。プロジェクト全体をアレンジするメガバンクなどと協働し、一定のリスク・リターンを見込んだメザニンローンで資金調達を支えていく。再エネ事業では、FITなど国の制度が毎年見直される中、変わり続ける状況に合わせたリスクの見極めも不可欠。「同じ案件は2つとなく、毎回異なる条件設定やスキームが必要になる難しさはありますが、同時にそれは常に発見があるというおもしろさでもあります。計画段階から竣工・稼働にいたるまでの全行程に関わり、『お客様と一緒に発電所をつくり上げていく』という実感が持てる仕事だと思っています」と木村は話す。

Case 2 ▶ 顧客・パートナーとともにSDGsの課題解決に貢献

2020年1月、JAMLは一般社団法人GOOD ON ROOFSと共同で、太陽光発電の自家消費サービスを提供する子会社、GOOD ON ROOFSエナジー株式会社を設立。顧客の工場や倉庫の屋根を賃借した上で太陽光発電設備を設置し、発電した電力を提供する。プロジェクトを担当する知久裕明は、「お客様は初期投資不要でリーズナブルに再エネを利用でき、かつ遊休化している『屋根を貸す』ことによる賃料収入を得られます」と顧客メリットを語る。この事業を特徴づけるのが、途上国支援プロジェクトとの連動だ。顧客の希望があれば、賃料収入はGOOD ON ROOFSに寄付され、寄付金はアフリカなど途上国の学校への太陽光パネル設置による、電化率や教育水準の向上に役立てられる。「SDGsが示すような社会・環境貢献に取り組みたくても、何をすべきか分からないというお客様は非常に多いと感じています。そのようなお客様の課題に対し、当社としてひとつの選択肢を提案するのが今回新たに開始したサービスです」と知久は話す。契約年数は原則20年。プロジェクトに賛同する顧客に対して、長期的かつ継続的なSDGsの取り組みを支援する。知久は「こうした新規事業への取り組みは、JAMLにとっても持続可能な社会への貢献として重要な一歩になると考えています」と話す。

Chiku’s Comment

日頃から社内のさまざまな部署との接点が多い仕事ですが、特に多くの人から助けてもらったと感じるのが今回の子会社設立です。法務や経理、財務などの機能部門からのサポートはもちろん、JAML全体での環境への取り組みとして経営企画部の意見を聞いたり、お客様への展開に向けて営業戦略室や各営業本部とも密に話し合いました。たくさんの協力を得てここまで来ることができ、そうした人と人との関わりの中にプロジェクトを進める楽しさも感じています。ようやくスタートを切ったばかりの案件であり、今後はPR活動に注力し、お客様への認知を広げていきたいです。

知久 裕明

知久 裕明

プロジェクト開発部
2010年入社

Kimura’s Comment

プロジェクトファイナンスは、お客様と交わす契約数も多く、各種条件の妥当性を一つひとつ検証する必要があるなど、細かな業務の積み重ねで成り立っています。それだけに完成した発電所を見るときの達成感は大きく、この施設が今後世の中にクリーンなエネルギーを送り出していくのだと思うと感慨深いです。再生可能エネルギー事業の推進は、気候変動への対策として重要なのはもちろん、資源をめぐる紛争をなくすという点で、世界平和にもつながり得るものです。自分たちの将来や次世代にも関わる大きな問題に取り組んでいく意義は大きいと考えています。

木村 悟士

木村 悟士

プロジェクト開発部
2019年入社
※キャリア入社

※取材は2020年10月時点の内容です